“見える化”とはなにか?

設備管理・DX

はじめに

 「あの人しかわからない業務がある・・・そんな状況、あなたの職場にもありませんか?」

 企業の課題としてよく挙げられるのが、”属人化”です。属人化とは、特定の人にしか特定の業務ができない状態を指します。もし、その人が休んだり、退職したりすると、業務がストップしたり、品質トラブルにつながるリスクが高まります。

 例えば、ある設備の修理はAさんしかできず、Aさんが不在だと復旧が遅れ、生産停止が長引く。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

 このような属人化を解消するための第一歩が”見える化”です。

 次に、その”見える化”とは何を意味するのかを考えていきましょう。

見える化とは

 見える化とは、誰が見ても理解できる状態にし、それを誰もが共有し活用できるようにすることです。

 ただ表示するとか、掲示するということではありません。

 「はじめに」で挙げた、特定の人にしか修理ができないということを見える化するとしたら、どのような方法があるでしょうか。

 例えば、修理履歴をデータで残す、写真や図面を共有するなどの方法が考えられます。

 修理履歴の書き方が重要です。例えば、

「〇〇ポンプから異音」ではなく、

「〇月〇日 〇〇ポンプから異音。モーターから周期的なカラカラ音あり。軸受摩耗と思われる。振動計を使用して振動測定実施。結果:軸受損傷、点検者:〇〇」

 このように、いつ・何が・誰が・どのように、などわかることをすべて記載することが重要です。その時、その人が感じたことも記載しておくと後から見返した時に役に立ちます。

なぜ見える化が必要なのか 

 多くの現場では、点検結果や修理履歴を紙やExcelで管理していると思います。

 コストもかからず、簡単で便利に思えますが、実際の運用では次のような課題が出てきます。

 まず、情報が分散してしまうこと。ファイルが部署ごと・担当者ごとに存在し、どこに最新の記録があるのか分からなくなるケースは少なくありません。

 さらに、Excelでは複数の担当者が更新し、複製が生まれ、最新版がどこにあるかわからないということも起こりえます。

 紙の場合はもっと深刻です。現場で書いた記録がファイルに綴じられたままになり、後から探すのに時間がかかります。紙が破れたり紛失したりすることも珍しくありません。

 つまり、紙やExcelでは”見える化”が難しくなります。

  紙やExcelでの管理を続けていると、情報がどんどん散らばり、更新が追いつかなくなります。

 点検表のフォーマットが人によって違ったり、保存場所がバラバラだったり。結果的に、「誰の記録が正しいのか」すら分からないという状況が生まれます。

 その状態で何かトラブルが発生すると、情報を知っている人に頼るしかなくなります。

 「Aさんに聞かないと分からない」「Bさんしか修理できない」。

 こうして、知らず知らずのうちに属人化が進んでいくのです。

 見える化は、この悪循環を断ち切る手段です。

 情報を一元管理し、誰でも同じ情報を見られるようにすれば、「人に聞かないと分からない」を減らすことができます。

 属人化の根を断つためにも、見える化は欠かせない取り組みだといえます。

“見える化”から“標準化”へ

 見える化によって情報が共有されると、チームの中で共通の“ものさし”が生まれます。

 これまで人によって判断が違っていたことも、「過去の履歴はどうなっているか」を確認することによって、誰でも同じ対応ができるようになります。

 記録がチームの“共通言語”になると、意見の食い違いが減り、議論が建設的になります。

 また、ベテランと新人の間でも「見て学べる」「真似できる」関係が築けるようになります。

 これは、教育や技術伝承にも大きな効果を発揮します。

 記録による”見える化”は過去の出来事を残すためだけのものではありません。

 今を改善し、未来を支える判断の基準になるものです。

 見える化が定着してくると、次は標準化にフェースが上がっていきます。

見える化の第一歩 まず1件から

「見える化の意義はわかったけど、実際にどのように進めればいいかわからない」

このように思う方もおられると思います。

お伝えしたいのは、まず始めなければ進まないということです。

まず、やってみる。次に何か起こった時に、その事象をすべて残しておく。

以下に思いつく限りを並べてみましたが、わかる範囲で記録しておけば必ずあとから役に立ちます。

目的 :その修理をなぜやるのか、やったのか
背景 :その設備はどのような背景があるか
誰が :誰がやったか(自社・協力会社・担当者名)
いつ :いつやったか
何を :どの設備か
どのように :どんな修理をしたか。何を使ったか。測定結果は?
どこで :設備の設置場所は?
コスト :いくらかかったか
所要時間 :修理にかかった時間は?
参考資料 :参考になる資料はあるか

まず1件やってみる、次にまた1件、それを積み重ねていけば、情報は蓄積され、いつか役に立つ時が来ます。

上司や同僚も、その情報で助かることも増えていきます。

そうしていくことで、自分だけではなく、周りも巻き込めるし、真似してもらえば、組織として成長していけます。

見える化は仕組み化への入口

 見える化ができるようになると、現場の情報が整理され、「誰でも同じ情報を見られる状態」となります。

 これは属人化を解消するための一歩ですが、見える化そのものはゴールではありません。

むしろここからが本当のスタートです。

「4. ”見える化”から”標準化”へ」であったように、誰でも同じ対応ができるようになることが標準化の段階です。

 この標準化が定着すると、次は”仕組み化”へと進化していきます。標準化の段階だと、担当者がルールを守らなければ、同じ対応ができません。つまり、人の意識や努力に依存している状態です。

 仕組み化とは、この依存している部分を減らし、やらざるをえない状態にしたり、迷わずに正しい行動ができるようにすることです。

例えば、作業を完了しないと次の工程に進めない、修理履歴が設備と自動的に紐づく、ようなことです。

見える化 → 標準化 → 仕組み化

このの流れは、現場改善の王道です。

 繰り返しますが、見える化を始めなければ仕組み化へとは続きません。

見える化を定着するには、”記録”が大事です。まずはすべてを記録することから始めましょう。それが、「記録は未来のだれかの役に立つ」ことに繋がります。

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